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  • 執筆者の写真Kei Tomoda

経済同友会が提示した「共助資本主義」の可能性


経済同友会の問題意識



日本では構造的な問題があっても現状維持を優先する風土や横並び主義、失敗をおそれて問題を先送りする文化・体質が停滞を長引かせているが、これからは企業が社会課題に取り組むNPOなどの団体と連携したり投資をしたりすることで課題解決に貢献し、そのことで企業価値も向上していこうという提言です。

社会課題にはビジネスチャンスがたくさん眠っていること、そこに取り組むことでイノベーティブな人材が集まる企業へと競争力が高まる。

さらに、民間企業による社会課題の解決に新たな投資を呼び込むことができれば、日本経済が持続的に成長できると展望しています。


人材不足や、経済力の低下は誰もが認識する問題であり、昨今は、コロナ禍やウクライナ危機、物価の高騰なども生じて、日本経済の先行きに対する危機感はますます強まっています。

経済同友会は、そうした日本の現状に対して今すぐにでも、経営者たちが行動を起こさなければならないと強く求めています。



「共助資本主義」とは


日本の失敗をおそれる文化や企業の現状維持体質は、本ブログでもたびたび問題視してきたテーマです。

そして、それでは企業も社会もサスティナブルではないこと、生き残りのためには現状を打破して、自ら率先して変化していかなければならないと述べてきました。


経済同友会の提言は、弊社の考えと親和性が高いのですが、その中で特に印象的だったのは、「人生の質的豊かさ・wellbeingを実現できる成長のあり方」を念頭においていることです。

そもそも「共助資本主義」とは、企業の利益と株主を重視するのではなく、従業員や取引先、地域社会を含むステークホルダーの利益に配慮した経営をめざす「ステークホルダー資本主義」に依拠して、社会のあらゆる生活者・個人のhappinessを創出するためのメカニズムだと説明されています。


共助資本主義の主体は社会を構成する一人一人の生活者であるという観点は非常に重要だと思います。

一人一人が感じる「新しいことに挑戦したい」「社会をもっとよくしたい」という思い(=アニマル・スピリッツ)が生かされるような環境の整備と、そうしたヒトがつながりあい、さらに自由な発想が生まれ、モノ・カネ・データの動きが活発になり、イノベーションが持続していく。


個人のアニマル・スピリッツが喚起され、多様なセクターと連携して支えあう「共助」の場に企業もコミットしていくのが「共助資本主義」であり、その支柱となるのが「パーパス(存在意義)への共感」だといいます。


共助資本主義にコミットする企業には、熱意ある人材が集まり、信頼できるサプライチェーンが確立し、社会的にも企業価値が認知されるという競争優位性を得る可能性が高まり、社内のスキルアップやモチベーションの向上にも寄与できるというのがモデルです。



どのような社会を目指すのか


経済同友会の提言の中では、実現したい社会像として、

・多様性が共存し、あらゆる個人が尊重されて、夢や希望を持てる社会

・一人一人の挑戦が奨励され、失敗しても立ち直りの支援があり、自身のパーパス実現にむけて他者とつながり、挑戦を継続できる社会

をイメージとして挙げています。


企業に対しては、人材育成の重要性と、インパクト投資の必要性を訴えます。

そして何より、人材を含めた企業の持つリソースをソーシャルセクターの支援に投じることを呼びかけています。


経済同友会としては、事例の見える化やソーシャルセクターとの交流の場づくり、共同研究・政策提言などを行うハブ機能を担っていきたいとしています。


挑戦する者を積極的に推さずに、横並びで短期的なやりくりを繰り返してきた結果、30年にわたって停滞している日本経済。打開策は、挑戦することを応援すること。

目指すのは、多様性が受容され、自分は何ができるのか/したいのかというパーパスを実現するための行動が尊ばれ、つながりが広がっていく社会。


そうした社会活動に民間企業のリソースが投入されることで、共感の輪がより広がっていけば、社会はより良い方向に成長していく。

理想論ではありますが、弊社のこれまでの取り組みでも実感する考え方です。



ビズデザイン大阪の可能性


先日、設立7周年を迎えた際に、ビズデザイン大阪という会社を箱として上手く活用して、いろいろな人が集まり、知恵や経験を活かしながら、新しいものをつくりあげていきたいと抱負を述べました。


「ステークホルダー資本主義」では、社会のあらゆる個人の幸福度の向上が求められます。

さまざまな形で弊社に関わってくださる方々が、もっとつながりあい、経験や知識を共有しあえば、より社会に役立つ存在になれるのではないかと考えています。

むしろ、そのように変化していかなければ、社会から必要とされる企業として生き残れないとも思います。


「まわりと違うこと」を、ネガティブではなくポジティブにとらえていきたい。

一人一人の存在そのものを認めて、受け入れていきたい。

希望をもって、とにかく「やってみよう!」と思える場所を提供したい。


地域に根ざした中小企業に寄り添いながら支援を行い、規模も組織文化も異なる様々な企業のプロジェクトに携わってきた弊社だからこそ可能な取り組みが、いま求められているように思えるのです。




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