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  • 執筆者の写真Kei Tomoda

【コラム】副業・兼業人材を積極的に受け入れるべき理由

更新日:2021年5月16日


前回のコラムでは、副業・兼業時代の到来に「副業・兼業を認める会社」「副業・兼業をする社員」側について述べた。 ▼【コラム】副業・兼業は会社の「余白」だ


前述したが、大手企業や行政が外部から副業人材を獲得する動きも加速している。 ヤフーがギグパートナーという名で副業兼業を募集し、4500人以上の応募の中から10代から80代までの多種多様な人材が選出され、104名が業務委託という形で業務を開始している。

私のその中の一人として、SR推進統括本部の中で社会的インパクトマネジメントに携わらせてもらっている。 <ヤフーギグパートナー募集ページ>※いくつかの職種で募集があります。


どちらも倍率は約80~260倍と大きな反響を呼んでいる。

こういった事例は今後の地方行政におけるモデルケースともなりそうだ。

副業人材を受け入れる側のメリットについても書いておきたい。

副業人材を受け入れる場合、「ジョブ型雇用」と言って、スキルのある人材を事業課題に沿ってその都度、事業やプロジェクトに「副業で」参加してもらう形態が多いだろう。 外部人材が保有しているスキルや知識・経験を活用し、必要な技術やノウハウの獲得が可能となる。


ゼロから生み出すのは難しくても、既存のものと遠いところからやってきたものを掛け合わせることでイノベーションが期待できる。 社内でゼロからスタートすることを考えると、これまでにない新しい取り組みにスピーディに踏み出すことが出来、チャレンジへのハードルが一気に下がる。 また副業人材が外部からもたらすであろう、現況の組織内では得られない刺激や発見につながる点は大きなメリットだ。 副業人材は、その副業が単にお金を得るための手段としてだけではなく、本業だけでは得られない自身の成長につながる挑戦として捉えている。(もちろん報酬重視の場合もある) また本業と違って、意思決定のハードルは低いがゆえ、これまで獲得できなかった優秀な人材を即時採用でき得る絶好のチャンスと言える。 つまり、知識と経験・スキルを持った優秀な人材を、ピンポイント活用できるのが副業人材活用なのだ。


一方で、副業人材を外部から受け入れた場合の懸念点と言えば、「情報漏洩のリスク」だろう。

このあたりは、守秘義務契約書をしっかりと作成することで対応したい。 また、実際に業務に就いてもらう際の管理が難しいという面も聞く。

ここは、業務のミッションとゴールをしっかりと定めることで、しっかりと成果を管理したい。

もしプロセスが気になるのであれば、日報などを提出してもらうことで、ある程度、定性的だけでなく、定量的な面も管理ができる。日報を通じてコミュニケーションを取ることも業務を促進する方法の一つだ。


私は10年以上テレワークが前提の中で働いてきているが、これらの方法で業務を推進してきており、特段の問題を感じていない。


副業兼業などの外部人材を活用する場合は、もっとも重要なことは、業務の切り出しである。

どの業務を担当してもらうのか?繰り返しになるが、業務のミッションとゴールが何か?この2つがしっかりと決まっていれば、デメリットを乗り越え、大きなメリットが得られる。

大企業だけでなく、関わりのある石川県七尾市の中小企業(観光業であるホテル海望丸一観光、能登風土)で、副業兼業の取り組みが始まっている。

ホテル海望は、「Nagisa Dining」という新しいスペースのWEBマーケティングをプロボノで実施している。

参画しているのは、Webメディアのライターと普段はプロマネをしている未経験者の2名。

Nagisa Diningが持つ価値観(これまでの温泉旅館ではない感性)に合うターゲットが集まる場所になることを目標に、それらの層に届くコンテンツや情報発信をしかけていくプロジェクトです。


丸一観光では、企業の広報としてSNS運用がうまく回っていかない課題感があったので、SNS運用のプロ人材に入ってもらっている。

ただ、その副業人材に丸投げするのではなく、プロ人材から企業にノウハウを移転する(PBL方式)ことを意識して取り組んでいます。


基本的にはオンラインで、週1回の会議をしながら、

①SNS運用についてのインプット

②先週の投稿の振り返り

を繰り返し重ねながら、SNS運用の知識を得ながら、発信をルーティン化する取り組みです。


能登風土では、経理や労務管理業務の仕組化を実施している。農業、牡蠣養殖業、飲食店、観光施設と4つの事業に拡大しており、管理業務が追い付いていないことが課題。

経理などのバックオフィスのプロ人材に入り、クラウドサービスを利用しながら、経理と労務管理の効率化を目指して、兼業人材を活用している。


中小企業は、マーケティングや広報、経理などのバックオフィスも弱いことが多いので、その補強に副業・兼業人材は、ベストマッチかと。


副業・兼業人材の活用にあたって、「自社の課題」を明確にすることが重要だ。

経営戦略の一つとして取り組んで欲しい。

「こんなはずじゃなかった」といったミスマッチを防ぐためにも、どういったスキルと知見を求めているかも打ち出しておくべきである。


 

これまで培った風土に、新しい風を呼び込み、その風が起こす変化を受け入れる。 未来を見据えたしなやかな組織基盤作りこそが、これからの最重要課題だ。

そういった環境を用意出来る企業や行政は、外部人材がもたらす多様な働き方・考え方・価値観への柔軟な対応力と、イノベーションを起こす・生き残るのだという強い信念を持った組織であると言える。 副業人材はイノベーションをもたらすかもしれないが、実際にオペレーションを行い継続してゆくのはその企業自身であるということを忘れてはならない。 組織改革やイノベーション・インパクトを必要としているのであれば、外部人材の活用は今後注目すべき人材活用戦略であると言えるだろう。

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