変革の時代という言葉が聞かれて久しい。
コロナ禍で、いままで当たり前・メリットとされてきたことが、ドラスティックに問い直され、パラダイムシフトが起きた。
いま私たちは、VUCA時代の真っただ中にいる。(※)
VUCAの時代に求められること
VUCAとは、Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity(うつろいやすく、不確かで、複雑で、あいまいな)の頭文字である。
コロナ禍の先はどのような未来で、自分は何を目指せばよいのかについて、明確なニーズやビジョンをもてずにいる人も多いのではないだろうか。
先が見えない時代だからこそ、主観的・主体的に課題を見つけたり、目標を設定したりすることが必要であると考える。
そしてそこでは、論理的な思考よりも、時代の流れを察知する感性が求められる。
友田はかねてから、時代の流れを感じとり、社会課題を見える化して、解決に導くためには、アートとデザインとテクノロジーが必要だと考えてきた。
そして、それは、最も地方に足りないものだとも感じている。
逆に言うと、アート、デザイン、テクノロジーを地域ならではの歴史や文化と掛け合わせることができれば、付加価値のあるサービスや商品が生まれ、地域の可能性が広がると考えている。
アート思考がイノベーションを生む
アートとは、自由なものである。
従来の枠組みが全く通用しない、新しい視点で新しい意味を作り出すのがアートである。
そのアートが受け入れられるか否かが、地方や企業にとって非常に重要だと思う。
昨今のアメリカの経営者は、MBAではなくアートを学ぶという。
MBAは、ロジカルで、同じ結論を導くために最適化されたものである。
しかし、それではブルーオーシャンは作れない。
2016年の調査では、世界のユニコーン企業160社の2割が芸術系の教育を受けた創業者だという。
これは、2000年代までのテクノロジー系の人材がベンチャーを興していた時代とは明らかに異なる動きである。
既成概念をとっぱらう創造的なアート思考を取り入れることで、新しいことにチャレンジする自由度や多様性が増す。
いろんな価値観、センス、柔軟性が認められる自由闊達な環境でなければ、イノベーションは生まれない。
イノベーションが生まれなければ、サスティナブルな経営は難しくなる。
枠におさまらないアート・自由度が受け入れられるためには、感性や美意識が重要だと感じている。
美しい、オシャレ、カッコいい、クールなど非常に主観的なものだ。
個人の感性や美意識を尊重し、組織の意思決定に取り入れられるかが、ポイントとなる。
この点については、一部のベンチャー企業では取り入れられているように感じるが、日本の大企業でもまだまだ少なく、特に地方の中小企業の意思決定層にはまだ共感してもらうのが難しいと感じている。
デザインを活用して課題解決までの道筋を示す
そこで、もう一つ重要になってくるのが「デザイン」である。
多様な価値観や枠組みのない自由な発想から、一つの課題を設定するのは容易ではない。
デザインは、自由さの中にも共通の課題に光をあてて、課題解決までの道筋を示す仕組みや枠組みを提供するのに有効である。
デザインを実現させるためには、さまざまな立場の人や企業が、既成概念やしがらみを越えて対話をし、共通の価値や可能性を見出すことが重要となる。
さまざまな立場といえば、「マイノリティ」といわれる人たちの視点や意見も役に立つだろう。
マイノリティといわれる人たちは、マジョリティが気づいていない制約を受けながら生活していることがほとんどである。
それはとりもなおさず、将来の社会課題である。
その点に注目して、課題が見えてくれば、それはニーズの先取りであり、企業にとっては大きな競争力となりえる。
デザインは、その根底には未来に対する確固たる思想と責任感がなければならず、またそれを周囲の人にわかるように提示するものである。
いまの時代、SDGsの観点が欠落したプロジェクトには投資が集まらない。
では、どのように自由で多様な環境のなかで、課題を抽出し、社会に還元していくのか?
そこで重要な役割を果たすのが、テクノロジーであり、データの活用だ。
テクノロジーが広げる可能性
いわずもがな、テクノロジーの進化によって、あらゆることがデータ化されるようになった。
企業の売上から、人々の行動や志向、農産物の最適な栽培方法まで、あらゆる分野のデータの収集が可能である。
そして、データ化やデジタル化は、これまで企業や人の中に閉じられていた知見やシステムを社会全体にとって最適なものへと変貌させる力がある。
そして、デジタルは地域の方が精緻化や継続化がしやすく、また、逆に世界とつながって新しい可能性が開けることもある。
デジタル化されたデータをつなげることで、新しいアイデアやサービスが生まれ、それが新しい価値となる。
既存の枠組みをひとまず留保しながらも、客観的なデータを活用しながら、多様なステークホルダーと議論をして共通の課題をあぶりだし、新しい可能性を見出す。
そして、我々の目指すもの・解決できる社会課題はこういうものだというビジョンと、そのためにこういう行動をとるというミッション(可能である限り、パッションも!)を明確にすれば、社会からの共感や支持を得られやすくなる。
あとは、それぞれのステークホルダーが同じ目標に向かって、強味を持ち寄り連携・協力しながら、一緒に未来を創っていければ理想的である。
より多くの人が恩恵を得て、共感してくれる社会的価値を示すことができれば、事業基盤は安定し、企業は社会的にも経済的にもサスティナブルになるといえるだろう。
経営のサスティナビリティ向上をお手伝いします
これまでは会社の発展となれば、経済面ばかりが優先されがちで、CSRやサステナビリティの分野である社会面はコストセンターとみられていた。
でもそれが、持続可能性を高める投資だと認識される活動に変革させていきたい。
時代は、経営と社会を区別しがちなCSRではなく、CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)にシフトしている。
つまり、経営面からも社会的課題にコミットし、そのことで支持を得ていくという手法である。
私は、以前より経営に関わっている能登でのDMC観光事業や事業承継の事業で、自分自身も会社と地域の当事者となって、地域課題の解決の一翼を担ってきた。
そのなかで、アートとデザインとテクノロジーをカスタマイズ・アレンジすることで開ける可能性を実感した。
これからは、そのような動きをより広げていきたいと思う。
経営のサスティナビリティ―向上のために何かしたいと考えている地域の経営者の方、地域に根ざす企業と一緒にできることを考えている企業の方、ぜひビズデザイン大阪までご相談ください。
イノベーションを実現するために、伴走者 or プレーヤーとしてサポートさせていただきます。
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