「これからの時代は経験の蓄積も大事だが、新しい変化をどんどん取り入れ、咀嚼して対応する力の必要性が高まる」と述べました。
そして、既存の価値観や方法からいったん離れて、新しいスタイルを取り入れる「アンラーニング」の重要性を主題としました。
先の予測が難しいVUCAの時代であると言われてから数年がたちますが、社会の変化のスピードや振れ幅はますます大きくなっているように感じます。
いままでの常識・やり方だけでは太刀打ちできないのは、もはや新しい「あたりまえ」。
そして、「あたりまえ」がどんどん更新されていく世の中で成長する子どもたちには、何が大切なのかというコラムもたくさん見かけるようになりました。
先が見えない時代の子育てに必要なもの
そうしたコラムのなかで、とても示唆的だったのが、
特に以下の3点が印象的です。
・自分の強みをいろいろな形で輝かせられるように、選択肢を増やすこと
・若者、中年、高齢者と年齢の区切りで学びを考えるのはやめて、「最新学習歴を更新していくこと」
・正解は分からなくてもベストを更新していくという、親にとっての「最新学習歴の更新」
子どもをみていると、得意なことや好きなことが変わることはよくあります。
世の中が変化しているなか、いわば当然のことです。
親としては固定観念にとらわれずに子どもをよく観察して、子どもの好き・得意を増やしていくことが大切。
それはまさに、子育てにおける親の日常的な「アンラーニング」といえます。
親も子も「最終学歴」という考え方を捨て、世の中の変化にあわせて新しい知識・スキルを取り込んでいく「最新学習歴」を更新していくという考え方には、非常に共感します。
自己決定ができる子ども
親のアンラーニングの必要性もさることながら、子どもの主体性や選択肢を意識することもとても大事だと考えています。
少し古いですが、面白い研究結果があります。
タイトルの通り、人の幸福度を上げるのは「自己決定」ということです。
昨今は、小学校でも既存の方法ではなく、子どもの主体的な学びや体験活動を重んじる学校も増え、人気や注目を集めています。
令和3年には「夢みる小学校」という映画もうまれ、文部科学省の選定映画にもなっています。「アクティブラーニング(自主的探求)」の方向性・可能性として参考になるということでしょう。
映画の主題も、「自主性」と「幸せ」の追求です。
そもそも、自己決定するには、いくつかの選択肢をもつことが前提となります。
信頼され自由を得た子どもは、興味・関心が尽きず、大人のようなルールや先入観やしがらみなどもないので、たくさんの選択肢をもっているわけで、そこから自主的に探求を深めていきます。
それが、子どもの幸福(ウェルビーイング)につながる。
子どものハッピーな成長・学びにとって、主体的なアンラーニングがカギになるといえるでしょう。
アンラーニングすることで先取りできる「変化」
VUCA時代は先の見えない時代であるように感じますが、そのなかでもどのような変化が起こりうるかの仮説をもつことや、可能であれば変化を先取りしていくことも重要だと思います。
PDCAはもう過去のもの。これからはDAPPE理論で!というコラムを2年前に書きましたが、今でもその考え方は時流に乗ったものだと思います。
DAPPEとは、
Do…まずやる
Act…やってみたらすぐに良し悪しが見えてくるのですぐ改善する
Purify…たくさんの行動からベストのものを選ぶ
Prompt…アーリーアダプター(流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人)をそそのかす
Escalate…世の中をエスカレートさせる
先が読めないからこそ、とにかくDOを数多くこなして、DOとACTを繰り返していく。
そのことでベストを選ぶことができ、周りの変化にも柔軟かつ素早く対応していけるという考え方です。
先に紹介した「最新学習歴の更新」に通底する視点です。
学習歴を更新していくということは、それだけ経験や知識も増えていくので、選択肢も豊かになります。
選択肢が増えると、世の中の変化の方向性に自分を位置づけることが容易になり、変化を先取りできるようになるのではないかと。
楽観的な理屈かもしれませんが、子育てにおいても意識しておきたい視点だと考えています。
最後になりましたが、選択肢の豊かさが家庭環境に左右されること、教育格差・体験格差を補う社会的な仕組みづくりが急務とされていることも忘れないようにしたいと思います。
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