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執筆者の写真Kei Tomoda

【コラム】地方のデジタル化が進まない理由

「デジタル化」が、ここ2年でぐっと身近なものになった。

コロナ禍の経験を経て、デジタル化は「便利」なものから、「なくてはならないもの」へ認識が変化した。


が、その一方で、なくてはならないものになったデジタルが導入されたとしても、実際の当事者はそのメリットを享受することが出来るのだろうかという疑問が沸く。


今回のコロナ対策に必要なシステムの整備や業務構築が追いつかず、多くの地方自治体に多大な人的負担がのしかかり、人々は手続きに右往左往することになった。

もっとデジタル化が進んでいれば・・・という声が多く聞かれたが、受け取る側の準備はできていたかと言えば、実際ほとんど整ってはいなかっただろう。特に地方では。


提供する側だけのデジタル化では意味がない。

受け取る側のデジタル化こそ進めなければ。


真のデジタル化とは双方向で成り立つものであり、一方的であってはならない。


地方でいうデジタル化は何を主に指すか?

・住民に身近な行政サービスを提供する手続のオンライン化 ・非接触によるキャッシュレス決済

・オンラインで仕事ができる環境整備

地方で言うデジタル化とは、大きくこの3つの項目が挙げられるだろう。

特に地方行政のデジタル化では、基盤となるマイナンバー制度の活用や浸透が急がれる。


非接触によるキャッシュレス決済は、コロナの感染拡大対策として有効だが、若年層への普及は進んでいるものの、年代が上がるにつれ普及率は低い。


また、地方の企業はまだまだFAX文化が根強く残っており、ペーパーレス化を含め改善の余地は大きい。


地方のデジタル化が進まない理由


コロナ禍で一見進んだかのように見える日本の「デジタル化」は、 人々にとって豊かさの実感にはまだつながってはいない。


あの手この手で多くのメリットを提示しているにも関わらず、サービス利用者が増えない理由は地方特有の事情も背景にあるように思う。



①高齢化・新しいことや変化への抵抗感

✓ いまの生活に不自由がないためにデジタルに期待しない

✓ 現金神話が強く、キャッシュレス決済を利用しない

今さら新しいことを取り入れることへの抵抗

といった意識が、シニア層のデジタル化へのシフトを遅らせているのも事実である。 そして一番の課題は、高齢者層ではデジタルデバイドが加速し、機器の操作やITへの理解に難があることだ。



②メリットが少ない、もしくはメリットを実感していない・できない

地方だと、どうしても都市部と比べて情報が届くスピードや、新鮮さは劣る。

また、事例などの入手する手段・機会は少なく、その地域に合った事例の効果が説明しきれていない。


例えば、オンライン授業やテレワークといったコロナ禍で一気に浸透したデジタル関連についても、都市部ほど感染拡大が危惧されなかった地方では、いまだ「あれば便利だけれど、特になくても困らない」ものなのだ。

温度差を埋めるための説明が圧倒的に足りていないように思う。


③横並び体質、目立ちたくない

これは地方が持つ特有の問題だ。 新しいものを取り入れる、人と違うことをする行動は避けられがち。

逆に、誰かひとりでも先陣を切ってチャレンジした結果上手くいけば、その後はみんなが続いてくれるとも言えるが。 この地方特有の文化を理解し、考慮した取り組みが必須なのだ。


地方こそデジタル化を進めるべき理由


先述した、”地方のデジタル化が進まない理由”がそのまま”地方こそデジタル化が進めるべき理由”となる。


①高齢化

人口減少、高齢化、担い手の減少など、これから深刻化する社会課題は都市部に先行して地方で顕れてきている。


「デジタル化」がその不足部分を補うことで、地域社会を円滑に支えることにつながる。

生活サービスの維持、見守り機能の充実など 地方高齢化特有の課題を解決する手段になりうる。

人材不足によるサービスの低下・停止の危機を脱し、逆にサービス内容の充実・向上につながるはずだ。


また災害や緊急時においては、デジタル機器は命綱ともいえるライフラインとなってきている。。

緊急性の高い情報は、スマートフォンやPCなどからすぐに得られるようになった。

自然災害の多い日本にあって、災害時緊急時の避難や必要な情報取得は必要不可欠だ。


家族や友人とのコミュニケーションにおいても、デジタルツールの使用が当たり前となり、社会的孤独の回避に有効だ。


こういった面からも、高齢化が進む地方では、デジタル化によって、課題の解決につながるため、導入しないという選択肢はないように感じる。



②もたらされる効果・メリットに関する情報不足

デジタル化によってもたらされる幸せな未来像を、リアルに体験する機会をもっと設けるべきだ。

実際に利用してメリットを感じている人たちを見て、声をもっと届ける努力が必要。


マイナンバーを持つメリットの例をいくつか挙げると、


✓写真入り身分証明書になる

✓2021年10月から健康保険証として使える

✓介護保険申請時に役立つ

✓年金の各種届出が簡単になる

✓オンラインによる確定申告がスムーズに

✓コンビニで各種証明書を取得できる


ただ、これらを謳うだけでは、これまでと同じ。

情報とは良いものだけでなく、導入から使い方までも丁寧に伝える積極的な情報提供を行ってもらいたい。


特に地方では、待っていては誰もやらない。 宣伝広告などより、実際に手間と労力をかける支援の検討が必要。


③横並び体質・目立ちたくない

横並びがよくないのではない。

むしろこの場合は、誰か一人が得をするのでなく、みんな一緒にデジタル化の恩恵を受けたらいい、というだけのこと。

人に遅れをとることに不安を感じる人が多いのが日本人であり、特に地方ではその特徴は顕著だ。

それならば、そういった傾向を考慮した上で進めていけばいい。

一人一人説明して回るより効率的かもしれない。

さらには、デジタル化によってその地域コミュニティに活性化がもたらされる可能性もある。



地方のデジタル化はどうしたら進むのか


地方に限らず、お互いがメリットを享受するためには、そこに住む人々を巻き込めるかが重要になってくる。


当然ながら若い世代はデジタル化への抵抗がない。

地方の課題解決のためには、若者に任せてみるといい。

大学・高校・中学・小学校などと連携をして、一緒に進めていくのもいい。

また、例えば、地元の祭りのような、人が集い何かを成す場では、人は面倒な作業も楽しみながら笑顔でこなす。

こういった人々の気持ちと行動を配慮したうえで、デジタル化推進計画を進めるなら、きっと人々の行動やライフスタイルは、自然と変わっていくだろう。



デジタル化への支援のあり方


都市部と比べ、変化への対応が遅く、取り残されがちな面を指摘されているが、地方には便利さや利益だけではない価値観が浸透している。


そうした価値観を含めた豊かな人・環境に寄り添った生活設計の中で、自然と溶け込んでゆくような仕組みが、日本全体で求められていると思う。


もしうまくデジタル化の波に乗れたとしても、そこで終わりではない。

住民に根付くようにしっかり支援を続けていく必要がある。

場合によってはその効果の出方に よっては、デジタル化の方向を臨機応変に変えていく勇気も必要だと思う。



 

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