• Kei Tomoda

【B Corp③】世界におけるB Corpの広がりと日本の現状

更新日:10月25日


「地球が唯一の株主」:Patagonia創業者による新しい企業形態


2022年9月14日、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏が、同社の全株式(30億ドル:約4300億円相当)を環境危機対策に取り組むNPOと信託に譲渡すると発表しました。

パタゴニアは「地球が私たちの唯一の株主」になったとして、事業への再投資にまわさない資金を毎年、配当金として2つの組織に分配する方針です。


Patagoniaは2012年にB Corp認証を受けており、代表的な存在でした。しかし、いまだに気候変動や生物多様性の危機は深刻であることに対して、企業としてさらに踏み込んだ決意と実践を示したことになります。


ここで重要な点は、パタゴニアは営利企業として、資本主義が地球の役に立つことを証明すべく最善を尽くすいう方針を改めて示していることです。

これまで貫いてきた自社のパーパス(存在意義)をさらに追求し、「自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用する」ことを選んだという点は、B Corpの根幹である「企業の社会的役割を変革し、社会課題の解決を推進していく」最たる事例ではないでしょうか。



世界のB Corp


2022年8月時点で、世界では5000社を超える企業がB Corp認証を取得しています。

アセスメント基準の幅広さもあって、取り組みは実に多様です。また、B Corpはコミュニティであり、ムーブメントでもあるので、「面」としてのインパクトが実現しています。


たとえば・・・


★ コロンビア大学、ハーバード大学、ニューヨーク大学、イエール大学などのビジネススクールは、卒業後に認証B Corpに就職する学生の学費ローンを免除している。また、認証B Corp従業員に対して学費を割引する大学や、起業家向けオンラインコースの申し込みが割引になる例もある。


★ シリコンバレーの主要なベンチャーキャピタルのほぼすべてがB Corpに投資している。


★ 国際的な報道機関として初めてB CorpとなったThe Guardianは、2019年10月のプレスリリースで、環境に関する報道を拡大すると明言し、メディア企業としてムーブメントへ貢献する意思を表明した。


★ イギリスのスーパーマーケット「Waitrose」では、期間限定でB Corp認証を受けた企業の商品だけが並ぶ棚が設けられ、多岐にわたる選択肢が提供された。アメリカでは、B Corp認証マークの付いた商品を買う、B Corp認証を受けた店で食事をする、B Corp認証を受けた銀行に預金するというように、B Corp認証が生活に浸透している。



アジアでも昨今、B Corpは急速に広がっています。そのけん引役が、2015年に設立されたB Lab台湾です。


★ 馬英九前総統が、B Corpの「革新を呼び起こす精神と公共への奉仕心」を称賛し、政府としてB Corpや社会的企業を支援すると明言し、台湾証券取引所では、BCorp認証がIPO申請のための有効な裏付けとして認知されている。社会的にも、B Corp認証に対する認識が徐々に定着しつつある。


★ B Corpがアジアの国際会議で取り上げられるようになっており、年々影響力が増すネットワークの一つであるAsia Venture Philanthropy Network (AVPN)の年次カンファレンスではB Corpに特化したセッションが設けられた。別の大きなイベントでもB Corpが大体的に取り扱われた。



日本のB Corp


世界やアジアでの広がりと比して、日本ではまだ認知度は低いままです。ソーシャルセクターに限らず、民間企業のCSR業界でもあまり耳にしません。

比較的新しいことや審査が厳しいこと、申請がすべて英語であることも影響していると思いますが、なにより、B Corp認証のメリットが理解されていないことが原因だと思います。

即時的で直接的な金銭利益ではなく、従業員満足度を上げることや、環境負荷を減らすこと、経営陣の多様性に配慮すること、コミュニティへの貢献度を増すことetc.、価値観やブランディングなどの間接的な利益が強いことが影響しているのではないでしょうか。


日本企業が初めてB Corp認証を取得したのは2016年で、シルクウェーブ産業(群馬県)、石井造園(横浜市)、フリージア(埼玉県)の3社でした。2022年8月時点でもまだ、B Corp認証を取得しているのは14社にとどまっています。


世界で社会問題が多様化・複雑化している今、政府やNPO・NGO、または各企業の取り組みだけで問題を解決するには限界があります。

公益的な経済や新しい社会のあり方が求められ、それへの対応としてB Corpが位置づけられているならば、その流れが日本にやってくるのは必然だと思います。

※実際には、2022年に入ってから5社が認証を取得し、申請中の企業も増加していて、申請に時間がかかっている状況のようです。


また、B Corpは、大手企業ではなく中堅・中小企業やスタートアップ企業が取得している例が多いのが特徴です。


ビズデザイン大阪がこれまでに支援してきた企業も、大半が中小~中堅企業です。

中小~中堅企業の方がフットワークが軽く、事業内容の見直しや企業の社会的な役割の変革が検討しやすいと実感します。

一方で、小さな会社がどれだけ良い事業・取り組みをしていても、自社のプレゼンスを高めたり、業界内で差異化するには、限界もありました。

そこに世界的なお墨付きを与え、Patagoniaのような先進的な大企業とつながって、よりよい社会をつくることを目指して事業展開するパワーを得ることができるのがB Corpです。


世界的にムーブメントとして普及してきたコミュニティの一員となり、社会課題解決の一翼を担い、新しいグローバルエコノミーの実現に参加してみませんか?



次回は、日本におけるB Corpの事例を紹介し、今後について考えます。


【B Corp①】ビジネスでより良い社会を目指すアセスメント「B Corp」の概要 

【B Corp②】B Corpの認証基準とメリット 

【B Corp③】世界におけるB Corpの広がりと日本の現状 ←今ここ

【B Corp④】日本のB Corpの事例と今後の展望(前編)

【B Corp⑤】日本のB Corpの事例と今後の展望(後編)








閲覧数:28回0件のコメント

最新記事

すべて表示